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【インタビュー】ありのみ倶楽部が「梨」づくりで大切にしていること

2021/06/01
by 中村 航平

鳥取県の梨農家として、代々受け継がれてきた梨の木を大切に育てている前田さん。有機栽培など梨本来の味を引き出す栽培方法を日々工夫されています。

そんな梨と一緒に人生を歩んできた前田さんですが、生産技術はもちろんのこと、梨づくりにおいて重要なことは、消費者との「交流」だと言います。

おいしい梨を生産し続けるために、なぜ消費者と生産者との「交流」が必要なのか。前田さんに伺いました。

歴史ある梨農家が大切にしていること

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ありのみ倶楽部が農業を中心に事業をはじめた経緯について教えて下さい。

前田:「自分のおじいさんの代は、農業をメインだけではなく、椿油を売ったり、醤油を作ったり、していたと聞いています。なので、もともとは農業一本ではなくいろいろなものを生産していたようです。

本格的に梨づくりを事業のメインにし始めたのは、自分の父親の代からだと思います。ただその時は、梨の需要もそこまで大きくなく、お米を作ったり、畑で作物を収穫したりと、様々なものを栽培していたようです。

現在うちの農園に植えてある古い梨の木は、少なくとも私が生まれる前に植えられたものなので、最低でも樹齢70年くらいだと思います。

鳥取県で一番古い梨の木が約110年くらいなので、鳥取の梨農家としては古くから梨を作っている方になるのかな。

今では、息子たちが経営や栽培などを行っているので「梨」という商品を3代続けて作っています。」

梨を一生懸命育ててきた前田さん。販売スタイルにもこだわりがあると教えてくれました。

前田:「ありのみ倶楽部で行っている梨の販売は大きく分けると、インターネットからのオンラインでの販売と近隣の道の駅でのオフラインでの販売です。

私が生産をする上で大切にしていることは消費者の顔です。というのも消費者の喜ぶ姿を思い描きながら一生懸命育てても、実際の消費者の顔を知らなければ、一方通行な感情じゃないですか。

そのため、基本的には「卸してほしい。」という問い合せがあっても、自分の育てた梨が「鳥取県産」としてまとめられる可能性があるため、お断りしています。

自分が大切に育てたものを、直接消費者に届けるということにこだわり、道の駅などの対面式販売をはじめ、インターネットからのオンラインでの販売でも、注文が入ったら、発送するだけではなく、メールやSNSのDMなども活用しながら、できるだけ消費者とのやりとりが生まれるように工夫しています。」

「ありのみ倶楽部」という名前に込められた思い

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ありのみ倶楽部という名前で販売されていますが、なぜこの名前で梨を販売しようと思ったのでしょうか。

前田:「「梨(なし)」というのは漢字で書くと果物として認知してもらえますが、「なし」と話言葉で喋ると「無し」という意味にも捉えることができます。

一生懸命育てて、愛情を与えてきたものが「無し」という表現になるのはなんだか歯がゆい。色々と調べてみると、平安時代ごろから一部地域で「梨」を「ありのみ(有りのみ)」と表現していたようです。ちょっととんちみたいですけど(笑)

そのような経緯から「ありのみ倶楽部」では「梨」のことを愛情をこめて「ありのみ(有りの実)」と呼んでいます。それを広めていこうと思って農園の名前に「ありのみ倶楽部」とつけました。

インターネットで色々と調べると梨農園さんで「ありのみ」という言葉で「梨」を表現している方々もけっこう多いですね。

また「ありの実」という表現をさらに「愛梨実(ありのみ)」という表現で表して、「梨」を親しみやすくブランディングしている方々もいますね。

その人は女性農家として「梨」を今も作っている方で、本当にセンスがあるなと思いました。今でも付き合いがあります。

その「愛梨実(ありのみ)」という言葉でつながった縁で、その方のfacebookとかブログとかを拝見する機会もあって、けっこう影響を受けています。

本当に「ありのみ」という言葉から色々な縁ができたと思います。今の販売手法の中で情報発信のツールとしてFacebookなどのSNSを使っているのも「ありのみ」という言葉からつながった縁だと思いますね。」

ありのみ倶楽部という名前の「倶楽部」には、消費者との交流を深めたいという思いがあると前田さんは続けます。

前田:「確かに「ありのみ」という言葉を使い「ありのみ農園」という名前でも、梨に対する思いは伝わるかと思います。

あえて倶楽部という言葉を使ったのは、消費者と「交流」をする場所に将来的に「ありのみ倶楽部」をしていきたいという思いがあったからです。

もちろん商売なのでたくさん出荷するというのが農家の目標ですが、本当は現地に来て生産者の様子を消費者に知ってほしいし、直接消費者の声を聞きたいと思っている農家の方は多い。

ありのみ倶楽部では消費者との「交流」を実現する場所として、販売だけではなく、「梨狩り体験」として体験も販売しています。

ただ、「交流」を促進するために始めた「梨狩り体験」については、今経営を任せている息子には大赤字事業として怒られていますが(笑)」

美味しい梨に必要なのは消費者のリアルな声

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梨一筋で鳥取県の梨の生産を長年支えてきた前田さん。美味しい梨を作るために一番大切にしていることを教えて下さい。

前田:「梨農家として、生産技術というのはもちろん大切にしています。また、なるべく農薬を使わない、いわゆる有機農法なども積極的に取り入れています。また県外に視察にいって新しい梨の開拓なども行ってきました。

おいしい梨を作るための大前提として技術というのは欠かせないものですが、それ以外にも「消費者と交流する場所」も非常に重要だと思います。

現在も行っている「梨狩り体験」は本当に大盛況で、地元の方はもちろんですが、4年、5年連続で来ていますという県外の方々もいらっしゃいます。

リピーターの方々の中には、お土産を持ってくる方々もいっぱいいますね。「そんなん本当にいいから。」とは毎年言っているのですが、「親戚の家みたいなので、なんか買っちゃいます。地元の有名な饅頭です。今年もありがとうございます」と一言添えてお土産をいただいたりもします。

「梨狩り体験」を行ってきたなかで、特に印象的だったお客様が、3年前ぐらいに来られた、ご家族。娘さんの体調が悪く、車いすでほとんど一人では動けないぐらいという状態でしたが、梨狩りを家族で楽しみにしていて、梨を食べると「美味しい」と、非常に喜んでくれました。

体験が終わったあとに、一番小さい当時小学校1年生の息子さんが、大人がするような挨拶で、「今日は本当にありがとうございました。」と一言私に、言ったんですよね。

そういう瞬間に出会うと、「梨」を今まで頑張って育ててきてよかったと思いますね。一生懸命育ててきた梨が、だれか他の人の人生と交わり、感動を与える瞬間。

梨が収穫できるのは1年間の中でも短期間です。見えない消費者に対して愛情を込めて作っている梨と、だれかそういった特定の方々の顔を想像しながら梨を育てるのでは、おいしさも異なる気がする。

「交流」という機会をつくることで、消費者の顔を見ることができるので、もっと美味しいものを作ろうとか、他とは違うもっと工夫したものを作ろうとかそういう気持ちになるわけです。

大切な方を思い描きながら作った梨は、本当に自慢の梨!おいしい梨をこれからも作っていくためには、「梨狩り体験」を赤字でも続けていく必要がある、と息子をはじめ私も思っています。

ぜひみなさんも私たちが作ったおいしい梨をぜひご賞味下さい。」